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食中毒について
Lit訪問看護ステーション
気温や湿度が高くなってくる季節、心配になってくるのが食中毒です!
明らかに鮮度が悪くなっている食材に対しては注意をはらえますが、見た目が普通で臭いも無いと、知らないうちに消化管にダメージを与えるような、怖い細菌を取り込んでしまうかもしれません。今回は食中毒についてお話していきます。
【食中毒とは】
まずざっくりと食中毒とは「ウイルスや細菌など食中毒の原因となるものが付着した飲食物の摂取で起こる腹痛、下痢、発熱、嘔吐などの症状、健康被害の総称」です。
もっと簡単に言うと「何かを食べて、お腹を壊す」と食中毒です。
【食中毒の原因】
前述したとおり食中毒の定義はざっくりとしているため、その原因も幅広く、細菌・ウイルス・真菌・原虫・寄生虫・自然毒・科学物質と数えたらきりがありませんし、それらの対策も様々です。
今回は日常生活での食中毒予防として細菌にフォーカスをあてて話を進めていこうと思います。
【代表的な原因となる細菌】
〇カンピロバクター
特徴
・家畜、家禽、ペットなど多くの動物が保菌
・少量菌で食中毒をおこす
・鶏肉およびその加工品が関係した食中毒が多い
・
症状
・発病までは平均2〜3日と長め
・下痢、腹痛、発熱、悪心、嘔気、嘔吐、頭痛、悪寒、倦怠感 、血便
・まれに後遺症としてギランバレー症候群を発症
〇黄色ブドウ球菌
特徴
・ヒト、動物の皮膚、粘膜に広く分布
・塩分濃度がある程度(7.5%)高くても発育する
・ブドウ球菌が食品内で増殖、産生された腸管毒(エンテロトキシン100℃、30分でも壊れない耐熱性の毒素)を食品とともに摂取することで起こる(毒素型)
・おにぎり等の穀類加工品、弁当、調理パン、生菓子類、乳製品( 牛乳、クリームなど)などが原因食品
症状
・嘔吐が主症状、吐き気、腹痛、下痢など
〇病原性大腸菌(O-157)
特徴
・1〜5時間(平均3時間)と短時間で発症
・ベロ毒素と呼ばれている毒素を産生する大腸菌
・家畜、特に牛の腸内に常在
・多くは加熱不十分な食肉を摂取することにより食中毒が起こる
・非常に少ない菌量で発症
・食品以外からもヒトからヒトへの感染も起こる
症状
・潜伏期間は3~5日
・激しい腹痛、下痢、水様便、後に血便(血液がそのまま出ているような状態になる)、軽度の発熱
・重篤になると数日後に溶血性尿毒症症候群となる
・乳幼児、小児、高齢者は特に重症になりやすい。
〇サルモネラ菌
特徴
・哺乳類、爬虫類、両生類、鳥類を含む自然界の動物の腸内にいる細菌
・ヒトへは主に汚染された鶏卵、鶏、豚、牛等の食肉およびその加工品などを摂取することにより感染
症状
・発病までは8〜48時間
・腹痛、下痢、嘔吐、発熱
〇ウェルシュ菌
特徴
・動物の腸管内や土壌中に生息、酸素がないところでのみ発育
・通常の加熱調理においても菌は死滅しない
・食肉、魚介類、野菜を材料とした煮込み料理、大量調理された弁当、仕出し、スープなどが原因食品
症状
・発病まで8〜12時間
・下痢、腹痛(嘔吐や発熱はない)。一般的には軽症
〇セレウス菌
特徴
・自然界(土壌など)に広く分布
・通常の加熱調理においても菌は死滅しない
・嘔吐型(毒素型)と下痢型(感染型)の2つのタイプがある
・嘔吐型(毒素型)… 焼き飯などの米飯類、スパゲティなどの麺類などが原因食品
・下痢型(感染型)…下痢型は欧州に多く、腸管内で腸管毒を産生することで起こる。食肉、野菜、弁当、スープなどが原因食品
症状
・嘔吐型は30分〜5時間後に吐き気、嘔吐、下痢型は8〜15時間後に下痢、腹痛が主症状
【加熱すれば大丈夫は間違い】
大体の菌は75℃以上で1分間の加熱をすれば死滅しますが、黄色ブドウ球菌の作り出す
毒素エンテロトキシンは100℃30分の加熱にも耐えます。ウェルシュ菌やセレウス菌も
加熱で死滅しないため注意が必要です。
そもそも日本では生食文化がありますし、サラダなど加熱による殺菌が期待できない料も
たくさんあります。
【食中毒予防の3原則】
食中毒予防には『つけない』『ふやさない』『やっつける』の3原則があります。
〇つけない
・正しい手洗いを
食中毒予防の第1歩です。ハンドソープを使って手指や爪の間を意識して手洗いしましょう。料理中は食材を変える度に手洗いするのが理想です。
・ドリップ漏れを防止
肉や魚から出てくる汁を介して、他の食材に細菌がつく恐れがあります。買い物から持って帰る時や、保存の際に汁もれがないように必要に応じてポリ袋を活用してください。
・パッキンを外して洗浄を。
パッキンと溝の間も細菌が繁殖しやすいです。洗う際はパッキンを外して洗浄し、溝まできれいに洗浄してください。
・魚や野菜はしっかり洗う
魚や野菜の表面にも汚れがついているので、使用する前に洗い落しましょう。肉を洗うのは水しぶきがシンク内に飛び散り、細菌が他の食材につく恐れがあるので厳禁です。ドリップが気になるなら、キッチンペーパーで吸い取りましょう。
〇ふやさない
・生ものは最後に購入
冬場の店内は暖房が効いています。生ものを長く持ち歩く事は細菌の繁殖に繋がるため、最後に買い物かごにいれましょう。
・食品を正しく保存
食品表示の保存方法を守り、消費期限内に食べるようにしましょう。
・電子レンジや流水で解凍を
自然解凍では時間がかかり、細菌等が増殖する恐れがあります。冷蔵庫の中で解凍するか、電子レンジや流水で短時間に解凍しましょう。
・料理は小分け保存を
カレーやシチューなどの大量に作った料理を保存する際は、短時間で温度が下がるように、底の浅い容器に小分けして冷蔵や冷凍保存しましょう。
・弁当箱に詰めるのは冷めてから
熱々の料理を入れてそのままフタをしてしまうと、蒸気により弁当内の水分が増え、傷みの原因になります。
〇やっつける
・食材はしっかり中心まで加熱する
調理法や食材により加熱時間は異なるため、中心まで火が通っているか確認が必要です。
卓上でしゃぶしゃぶや焼き肉など、生肉に触れる際は生肉用の箸を準備し使い分けをしてください。
・調理器具は清潔に
可能であれば、包丁やまな板は肉・魚介類・野菜と使い分けると安全です。調理器具やスポンジは定期的に熱湯や塩素系漂白剤で消毒しましょう。
・キッチンを清潔に
食後の食器を長時間シンクで水に浸した場合、細菌が繁殖するため、できるだけ早く洗いましょう。三角コーナーも清潔な状態に保ち、キッチン全体を清潔に保ちましょう。
今回は細菌性の食中毒をお伝えしました。細菌は目に見えないだけにやっかいな相手です。必ずそこにいる、食材には絶対ついていると思って食中毒予防を心がけてみてください。